2007.02.18
子宮は全摘してもホルモンバランスは変わらない…
女性のガン罹患順位は、@乳ガンA胃ガンB結腸ガンC子宮ガンD肝臓ガンE直腸ガン
■女性特有の病気のはなし■

男性が持たない機能で女性が持つ部位において、ガンになるj頻度としては、乳ガンと子宮ガンがあげられます。
女性の場合、ガンとは限らずとも、子宮内膜症・子宮筋腫・卵巣膿腫などが心配される病気となります。特に子宮内膜症は、不妊症の一つの原因だとも言われているようで、
妊娠すると内膜症は治る…なんてこともよく言われますね
子宮内膜症
女性ホルモンと月経
月経周期における卵巣と子宮のドラマ

女性の身体は、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2つの女性ホルモンのリズミカルな分泌の変化により、ほぼ4週間を1サイクルとして排卵と月経を繰り返しています。

脳からの命令ホルモン(FSH、LH)が卵巣に届くと、月経の2日目あたりから、両方の卵巣で20個前後の卵胞が育ち始めます。この成長過程の卵胞たちがエストロゲンを分泌します。月経初日から数えてほぼ2週間目に、条件が整えば排卵が起こります。排卵されるのは最も大きくなった1個の卵胞だけで、他の卵胞たちはその前に消えていきます。卵巣では排卵した部分の抜け穴が黄体に変化し、エストロゲンとプロゲステロンを分泌します。排卵期に卵管で卵子と精子が出会って受精し、その受精卵が子宮に移動して着床すれば妊娠が始まりますが、そうでない場合は、排卵からほぼ2週間あたりでエストロゲンとプロゲステロンの分泌が急に下がり、月経が始まります。
ここで覚えておいてほしいことは、卵巣の排卵が先に起こり、それを含めた4週間の結果として子宮が月経を起こすのだということと、女性ホルモンを分泌するのも卵巣だということで、卵巣こそ重要な臓器であるということです。

これを逆に考えてみると…
仮に子宮を全部摘出したとしても、女性ホルモンの分泌には影響しないということで、ある時点で妊娠を望んではいない場合(もう充分なので…など)、毎月の月経(生理)に悩まされずに済む?というポジティブ思考の方も多々おられます。

このサイクルの中で、子宮も劇的な変化を繰り返しています。子宮は厚さ1センチほどの筋肉でできた袋で、その内側は子宮内膜※1と呼ばれる粘膜でおおわれています。月経から排卵までの低温期にはエストロゲンが作用して、子宮内膜は次第に分厚くなります(約1ミリメートルだったものが1センチ前後まで増殖する)。排卵後の高温期ではエストロゲンとプロゲステロンの両方が作用し、子宮内膜は栄養たっぷりのやわらかい状態になります。きたるべき着床(妊娠)に備えているのです。妊娠が成立しなかった場合には、増殖した部分の子宮内膜は不要となり、血液とともにはがれ落ちます。これが月経です。

※1 子宮内膜  人間の身体はおよそ200種類、60兆個の細胞で成り立っているが、子宮内膜細胞ほど増殖(細胞分裂)する能力をもった細胞は他にはない。エストロゲンの影響で増殖するが、高温期になってプロゲステロンが働かなければ細胞分裂が止まらず、がん化してしまうほど。子宮内膜では血管が豊富に発達し、グリコーゲンという糖分も盛んに分泌されるなどの特色もある。この子宮内膜が、ないはずの場所に勝手に発生するのが子宮内膜症(子宮内膜症協会より抜粋)

女性ホルモンのもう一つの大切な働き

卵巣と子宮が繰り返す劇的な変化をあやつっているのが2つの女性ホルモンですから、女性は初経から閉経までの40年間にもわたって、妊娠の準備のためだけに女性ホルモンを分泌しているのかと思いがちですが、エストロゲンとプロゲステロンは、女性の心身の健康を総合的に保つという、もう一つのとても大切な役割をはたしています。

特にエストロゲンは、骨量が減ることや血管にコレステロールが溜まりやすくなることを防いでいますし、脳や皮膚などの健康も保っています。男性では40代から増えはじめる生活習慣病(動脈硬化、高血圧、脳梗塞や心筋梗塞など)が、女性の場合は閉経までかなり抑えられているのは、エストロゲンのおかげです。プロゲステロンは、エストロゲンの作用が暴走しないように抑える役目をもっています。

子宮内膜症ってどんな病気?
発生しやすい場所
子宮内膜(※3)は子宮の内側にしかないはずの細胞ですが、この子宮内膜にとてもよく似た細胞が、なぜか身体のさまざまな場所に勝手に発生し、そこで活動してしまうのが子宮内膜症です。初経後、10代後半から発生する可能性があり、今のところ閉経するまで完治しません。世界で調査されたいくつかの結果から、子宮内膜症は月経のある女性の数%〜10%程度がもっているだろうと推定されています。

子宮内膜症が発生しやすい場所は骨盤に守られている下腹部の内部で、腹膜や臓器の表面(卵巣や子宮、ダグラス窩、腸や直腸など)、卵巣の内部、子宮の筋肉層、腹膜表面から少し内部などです。まれに肺やへそなどにも発生することもあるそうです。腹膜とはお腹の内壁や臓器をおおっている膜のことです。一般的な病変はミリメートル単位の大きさで、パラパラと散らばっており、新しくて生き生きしているものと古くなって堅くなったものとが混在しています。また、できて間もない子宮内膜症細胞は、画像診断はおろか、手術をしても見つけることはできないようです。
子宮内膜症による炎症と癒着

子宮内膜※3という細胞は、2つの女性ホルモンの作用で劇的に変化する性質がありますから、子宮内膜症の病変部分もそれぞれの場所で似たような変化を起こしてしまいます。まるで、お腹の中に勝手に傷ができたようなもので、ジュクジュクと出血したり痛み熱やを発したり、さまざまな化学伝達物質(サイトカイン)を分泌したりして、いわゆる炎症状態を起こしています。また、お腹の中の化学的環境がやや変化してしまいます。また、傷を治そうとする身体の自然の働きによって(免疫系)、病変部分をおおうような膜が発生し、それがあだとなって癒着が始まります。臓器や腹膜は、すべてつるんつるんと独立しているからこそ、その臓器特有の働きができるのですが、臓器どうしや臓器と腹膜がくっついたりすると、その臓器特有の働きに影響が出てきます。

いったんできた癒着は薬ではどうしようもなく、手術で剥がすしか取る方法はありませんが、癒着の程度や広がりによって、ドクターの技術によって、剥がせない場合もあるようです。(子宮内膜症協会より抜粋)

子宮内膜症の癒着による不妊症

子宮内膜症の癒着のために卵巣と卵管の動きが低下して不妊になるということが明らかですが、そういう物理的要因だけでなく、子宮内膜症の病変がさまざまなサイトカイン(人間の身体には必要なもので誰にもある)という化学物質のバランスを崩しているという、化学的要因も大きいようです。

子宮筋腫
婦人科の病気の中で最も知られる病気で、子宮にできる良性の筋腫(コブのようなしこり)で、婦人科の病気の中では最も知られるものの一つ。30代以上の女性の5人に1人に発生しています。流産や不妊症、貧血の原因になることもあります。子宮筋腫によく似た症状で、合併しやすいものに、子宮内膜症(子宮腺筋症)があります。

不妊症の人の20%は、この子宮内膜症の人だそうで、
子宮内膜症とは、
月経時に剥がれ落ちて出るであろう子宮内膜が、逆流して卵管を通り腹腔内にばらまかれ、内膜の一部がそこで発育する説が有力(子宮内膜逆流脱)だそうですが、
あるべきでない部分で発育してしまった内膜が、正常な精子の着床を邪魔するのでは?なんて意見が多いようですね。
症状】筋腫のできる部位や大きさによって、症状のないものから、多量の出血や貧血、動悸、強い生理痛、腰痛、腹部に異物感や膨満感を感じるものまでさまざま。痛みが出るのはほとんどが月経の時。月経量が多くなったり、レバーのような血のかたまりが出る場合、また不正出血がある場合があります。
知っておきたい治療法子宮筋腫は良性の腫瘍なので、必ずしもすぐに治療や手術が必要というわけではありません。しかし腫瘍の大きさや年齢、妊娠を望むかどうかによって治療法が異なりますので、医師とよく相談しましょう。妊娠を望む場合は、特に積極的に受診することが望まれます。
コブが小さく症状がないか軽い場合
とりあえずそのままにして経過を診た方が良いようですね。症状に応じた薬もあるそうですので、症状が軽くても、定期的に検診を受けた方が良いようです。
コブが大きく症状が重い場合
根治手術(子宮全摘出術)が一般的です。但し、妊娠を望む場合には、症状によっては投薬・筋腫核出術(筋腫の芯の部分だけをとって妊娠の可能性を残す手術)が可能な場合があります。
子宮ガンは、「子宮頚(けい)ガン」と「子宮体(たい)ガン」の2種類で、日本人の90%以上が子宮頚ガンに該当。
子宮頚ガン子宮頚部と言われる、子宮手前の膣に近い部分に出来るガンで、極めて初期では不正出血は無いようですが、臭いの強いおりものや、下腹部や腰の痛みが症状として出ます。生理痛かと思ってしまうことも多いようですが、普段の生理痛とは違う痛みを感じたりなどの不安要素の症状はあるようですので、当然心配となって受診し早期に見つかりやすいという理由もあるので90%以上という理由も分かる気がします。
ガンの進行度合を示す
ステージ分類(0期〜X期)は、0期あるいはT期で殆ど見つかります。また、表皮の部分ですので、リンパ組織に浸潤することないことから転移もしないそうです。つまり最も治りやすい、最も死亡率の低いガンとなります。
0期の場合、ガン部分のみを切って子宮を残すようになってきているようですが、ちなみに、熊本や九州では子どもさんが居て、子どもを作る予定があるか無いかを尋ねた上で、作る予定がない場合には「子宮摘出」する手術が多いようです。
子どもが居たら、ドクターが全摘しようとする理由
なぜなら、「子どもはもう充分」という場合、その後、子宮がなくなったとしても、女性のホルモンバランスは変わらないからという理由です。
卵巣は、女性ホルモン(卵胞ホルモンと脳から指令されて出てくる黄体形成ホルモン)に多大な影響があるので、摘出してしまうと、ホルモンバランスが変わって体調不良になったりします。また、卵巣が2つありますが、仮に1つを摘出したとしても、何らかのホルモンバランスの変調はあるようです。
(卵巣は大事ですね。)
子宮頚ガンにかかりやすい人
●若いとき(15〜16歳)から性交渉を始めた。●性交渉の相手が多数。●結婚が早く妊娠、出産の回数が多い。●局所が不衛生。
子宮体ガン子宮の奥の丸い袋状の体部に出来るガンで、初期でも不正出血があります。進行すると、悪臭のある血の混じったおりものが、腹痛とともにみられます。神経が圧迫されると、腰痛などの痛みも…。体ガンの場合初期で発見出来たとしてもリンパ組織に浸潤していることも多く、子宮全摘(子宮全摘出手術の略)をしたとしても、将来転移の怖れもあるようです。但し、早期発見であれば90%以上の5年生存率だそうです。
子宮体ガンにかかりやすい人
●年齢が50歳以上。●閉経以降である。●妊娠、出産の経験が少ない。●若い頃から月経不順
卵巣ガン(女性のガンの中では最も発見しにくい)
卵巣ガンは、女性特有のガンの中では発生率は高くありませんが、最近は増加傾向にあります。また、早期発見が難しい病気です。
 ※卵巣にできる腫瘍はガンでない場合も(卵巣膿腫)多いので、不安があればまずは検査を。
見過ごしやすいこんな症状
初期は症状がないのが特徴。腹部にしこりを触れたり、膨満感を感じたりします。太りすぎと勘違いすることも少なくありません。
腫瘍が大きくなると膀胱や直腸が圧迫され、トイレが近くなったり、便秘になったりします。
早期発見のために
卵巣ガンは、子宮ガンや乳ガンに比べて検診が一般化していません。原因のはっきりしない腹痛、張りなど、少しでも下腹部に異常を感じたら、必ず受診した方が良いでしょう。
治療には、オペにと抗ガン剤による併用だそうですが、何でも卵巣ガンには、比較的「抗ガン剤」が効きやすいと聞きました。